フューチャー・デザイン研究所

研究内容

研究紹介

岡野 芳隆

集団の意思決定について

岡野 芳隆 研究員

 経済活動を行う上で重要な「集団」という意思決定主体に焦点を当て、集団の意思決定が持つ経済学的な特徴を実験的・理論的に分析している。
 一つ目の研究は、各メンバーが共通の目標を持つような集団の意思決定の分析である。ある共通の目標があって、その目標に向かって集団メンバーで話し合い、集団として一つの意思決定をしなければならないような状況である。企業内の意思決定、政策の意思決定、チームスポーツなどでの意思決定が例として挙げられる。経済理論では、意思決定主体が個人であろうと企業であろうと政府であろうと区別はしない。しかし、経済学実験では、個人と集団の行動には違いがあるということが明らかになっている。混合戦略2人ゼロ和ゲームを用いた実験では、集団は個人に比べ、経済理論予測に整合的な行動を選択することが明らかになっている。(Okano, 2013)
 二つ目の研究は、囚人のジレンマ状況など集団メンバー間に利害の対立がある状況において、どのようにして協力行動を引き出すかに関する分析である。例えば地球環境問題を考えてみよう。CO2削減のために世界各国が協力すれば、みんなにとって住みやすい世界を実現することができる。しかし、CO2削減には様々な努力・知恵が必要であり、多くのコストを支払う必要である。このような状況において、全員が協力するためにはどのような仕組み・交渉プロセスを構築すればよいだろうか。このような動機を背景に、全員が協力するような仕組みを経済理論的に構築し、さらに実験においてもうまく機能するものを提案している。(Masuda, Okano, and Saijo, 2013)

三船 恒裕

視線の効果に関する研究

三船 恒裕 研究員

 人々は自分が所属している集団(内集団)に対し、自分が所属していない集団(外集団)に対するよりも協力的に行動する一般的な傾向を有しており、これは社会心理学において内集団ひいきと呼ばれている。人々は、自分自身には全く利益が得られないような状況においても内集団ひいき行動をすることが多くの研究で観察されたことから、内集団ひいきは人間が持つバイアスの1つとして考えられてきた。三船の研究はこうした社会心理学の研究に、進化生物学で発展した利他行動の進化理論(具体的には間接互恵性理論)を援用することで、内集団ひいき行動の進化的基盤を明らかにしようとするものである。
 例えば、クレーの絵を好むかカンディンスキーの絵を好むかという些細な基準で分けただけの、実験室内でのみ存在する人工的な集団を用いた実験では、実験参加者の前に抽象的な目の絵が表示されると内集団ひいきが生じることを示した。これは、集団内の他者から自分が悪い人間であるという悪評をつけられないために行う直感的な意思決定によって生じていると考えられ、間接互恵性理論による予測と一貫している。
 近年は、外集団に対して特に競争的・攻撃的に振る舞う現象がどのような場面で生じるのか、その行動の進化的な基盤も含めて研究を進めている。(Mifune, Hashimoto, & Yamagishi, 2010)

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