2025年度 JKA補助事業の成果
| 補助事業番号 | 2025M-495 |
|---|---|
| 補助事業名 | 2025年度 工具寿命を完全に使い切るための瞳分割偏光イメージングによる工具摩耗監視システムの開発 補助事業 |
| 補助事業者 | 高知県公立大学法人 高知工科大学 |
| 実施期間 | 2025年度 |
研究の概要
研究の目的と背景
切削工具は、安全を見込んで早めに交換されることが多く、まだ使用可能な工具が廃棄される一方、交換が遅れると加工不良や設備停止につながります。また、工具寿命の終端は加工用途、材料、寸法公差、要求面品位によって異なり、単一の摩耗量だけでは一律に判定できません。本研究は、工具が加工面に残す微細な光学的変化を捉え、用途に応じた客観的な工具交換判断と加工品質評価に役立てることを目的としました。
主な実施内容と成果
1. 瞳分割偏光顕微鏡の開発
可視光のマクロ観察系と顕微鏡系を構築し、瞳分割偏光イメージングを顕微鏡観察へ適用しました。通常の偏光像ではほぼ一様に見える加工面からも、条痕や傾斜、局所的な傷を浮かび上がらせることができました。
2. 明視野偏光観察では見えにくい加工面情報の可視化
一般的な明視野偏光観察では識別しにくい加工条痕や局所的な表面変化が、瞳分割偏光像では明瞭に現れることを確認しました。マクロ観察と顕微観察の双方で、加工面の方向性や微細な不均一性を可視化できます。
3. 電気制御による適応的な表面観察
電圧制御型の液晶素子を用い、観察対象に応じて感度方向を切り替える方式を検討しました。方向性の異なる段差や加工痕を選択的に観察できることを示し、金属表面の傷や異方性テクスチャを対象とした外観検査への適用可能性を確認しました。この成果はSPIE Photonics West 2026で発表し、会議録論文として公表しています。
実社会への展望
加工面を非接触で観察するため、工作機械や検査装置への組込みが期待できます。工具の使用に伴う加工面の微細な変化を捉えることで、工具交換時期の判断支援、加工不良の低減、工具廃棄量・交換時間・加工コストの削減につながる可能性があります。また、金属加工面、薄膜、微細傷、表面異方性などの高速・高精度な外観検査への展開も見込めます。今後は生産現場で評価を進め、用途ごとの有効性を検証します。
研究業績・対外発信
- 国際会議発表・会議録論文:N. Tsutsui, K. Yoshiki, H. Ikenoue, “Dynamic Pupil-Segmented Polarization Imaging using Electrically Controlled Birefringence Liquid-Crystal for Adaptive Nanotexture Inspection,” SPIE Photonics West 2026, Paper 13904-30; Proc. SPIE 13904, DOI: 10.1117/12.3080306.
- 国内学会発表:吉木啓介、筒井宣匡、池上浩「瞳分割偏光顕微鏡の開発」2025年第86回応用物理学会秋季学術講演会、9p-N402-4(2025年9月9日)。
- 国内学会発表:筒井宣匡、吉木啓介、池上浩「瞳分割偏光イメージングによる異方性表面テクスチャの観察」同講演会、9p-N402-5(2025年9月9日)。
- 展示・技術発表:吉木啓介「光学用透過型液晶偏光デバイスを用いた瞳分割偏光イメージング」第46回FPDフォーラム(2025春、2025年6月6日)。装置展示、ポスター発表、ショートプレゼンテーション。
知的財産
- 特願2025-168351「試料測定装置」(2025年10月6日出願)
- 特願2026-012597「試料測定装置」(分割出願、2026年1月28日出願)
出願人:高知県公立大学法人、株式会社デンケン
発明者:吉木啓介、筒井宣匡、池上浩、青木隆文
関連リンク
- SPIE会議録論文(DOI: 10.1117/12.3080306)
- 応用物理学会発表「瞳分割偏光顕微鏡の開発」
- 応用物理学会発表「瞳分割偏光イメージングによる異方性表面テクスチャの観察」
- 2025年度機械振興補助事業 採択事業一覧
問い合わせ先
〒782-8502 高知県香美市土佐山田町宮ノ口185
担当:特任准教授 吉木 啓介
E-mail:yoshiki.keisuke@kochi-tech.ac.jp

